内容
ドラフトや入団交渉、キャンプ、故障、シーズンオフにトレード。
副収入にマスコミとの関係や引退後の生活。
テレビ画面や新聞のスポーツ欄では分からないことが、現役選手やOBのインタビューを通して書かれてあります。

動機
大人買いして、刊行されていたコミックを全部揃えるくらいはまった某野球漫画。
コミックと連載されている本誌との差を埋めようと、感想などを書いてあるファンサイトを回ったことがきっかけで、とある同人サイトさん(いわゆるBL系です)に辿り着きました。
それまでは同人誌とかBLって、もちろん否定はしませんが、ちょっと苦手でした。
でもそこのサイトさんはほのぼのしている内容のためか、あまり抵抗なく読めました。
その漫画の主要メンバーは現在高校生なのですが、大人になった設定の創作パラレルも多く、私お気に入りの登場人物の一人はプロ野球選手になったという設定のものがあり、その際参考になったと記載されていたのがこの本。
なんだか興味深く思い、図書館で借りてみました。

感想
この本が出版されたのは、球界再編騒動(1リーグ制11球団にするとか)のあった2004年。
メジャーリーグに渡る選手も増えてきた年に、ベースボールではない日本の「野球」への熱い思いを抱くライターさん達が書いた1冊です。

プロ野球選手の生活、少々大げさに言えば一生が分かりやすまとめられています。
当然、個々の生活・人生を、これほどコンパクトな本1冊にまとめられることは無理ですが、“プロ野球選手”という職業から見てみると、流れに沿っているので分かりやすいです。
同人サイトの管理人さんが参考にするのも分かります。

とても興味深かったのは、寮生活について。千葉ロッテマリーンズの寮について書かれてあります。
素朴な疑問は、寮に入ったらトイレは個室についているの? 共同?って言うことくらい^^;
お風呂についてはかかれてあったけど、トイレについては記載なかったのです。
石鹸にはこだわりなくとも、シャンプー&リンスは各自専用というのも面白い。

要所要所に現役選手やOBのインタビューが挟まれ、これが一番面白いかな。

WBCや北京オリンピックでも主将だった、宮本慎也選手(ヤクルト)のインタビューは、現役のしがらみもあるのか?アマチュア選手からプロ野球選手のルーキーとなるまで。分かりやすくて柔らかい語り口。

高橋智さん(OB)はテンポが有って(笑)の記載が多い楽しい内容でした。
活字とは言え、実際の口調もそうなんだろうな、って思えます。

立派だな、と思ったのは清水直行選手(千葉ロッテ)。
二軍時代から一軍昇格。それを繰り返して一軍定着。その後エース級の投手になった方だそうで、その間に色々なことを見、感じ、思い、自分の中で確立して言ったのでしょうか。
マスコミやファンへの対応など、一般人では決して経験することはありません。
だからこそ、プロとして人の目を気にして毅然と対応することを語っています。
インタビュアーも仰っていますが、インタビューの内容から高いプロ意識を感じます。

こういう方々は解説者としても(解説者となっても)優秀なのではないのかな~。

プロというのは、自分という人間を観客という別の人間に見せること、魅せること。
そのために地道に努力し、チャンスを掴み、結果を残す。そしてさらに成長していく。
華やかな裏側の当然のことを上手にまとめて読ませてくれる本でした。

memo
「仮に変な質問をされても、あいつはダメだと頭ごなしに決めるんじゃなくて、『その聞き方はまちがってるでしょ?』とコミュニケーションをとっていけばいいんですよ。僕は失礼なことを言われた人に対しても、もう一切しゃべらないとかいうのはないですね。お互い仕事ですから。テレビや新聞を通して野球が見られるから、ファンになってくれる人たちがいるわけで、球場だけでしか見られなかったら違ってきますからね。だから、こういう野球関係の本や雑誌もどんどん作ってください。僕も出来る限り協力させていただきたいと思っていますので」(失礼なマスコミ関係者への対応についての質問に清水選手の返答/113頁)

実際失礼な対応をするマスコミ関係者はとても多いと思うんです。
そしてそういう人たちにもう一切しゃべらなくなる選手達も多いと思います。
でも、マスコミ関係者の後ろに、視聴者や読者がいる。このことを忘れないで対応することこそ、オトナであり、プロなのではないでしょうか。

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