『しらみつぶしの時計(法月綸太郎 祥伝社刊)』
2009年2月13日 こころ豊かに
内容
1440個の時計は、どれも1分ずつ違う。その中から正確な時刻を表示しているものを探し当てなければ、ここから脱出できない。では、どうやって…?
緊迫感ある文章、論理を武器に、たどり着く解答(表題作)。
名探偵・法月綸太郎(作者と同名)が活躍する作品で有名な著者の、本人曰くシングル・コレクションともいえる非シリーズ9編と、プラス法月林太郎(1字違うのはデビュー前の作品の為)が登場するボーナス・トラックを含んだ短編集です。
動機
一時期、作者・法月さんにハマっていました。
法月さんの短編を漫画化した1作を読み、これが当時の自分には衝撃的でした。
原作を読んでみたい!と思ったのですが、内容は覚えているのに、タイトルを忘れてしまって…^^;
その原作の短編に出逢うまで、法月さんの作品を読み続けていました。
ご本人も京大卒の秀才です。
失礼な言い方なんですが、いかにも頭のいい自信家が書いた感の強い文章と、少し上から目線の内容が面白くて、すっかりハマっていました。
当時手に入る法月さんの本は殆ど購入した程です。
ところが、購入したのはいいのですが、後から読み返すということがないことに気づきました。1度読んで、それっきり。
私がトリックなどよりも、犯人の動機や心情、被害者との人間関係に興味を持つタイプだというのが大きいとは思います。
まず図書館から借りて、気に入ったもの、手元に置いておきたいものだけを購入する今のスタイルになったのは、法月さんがきっかけです。
それ以来、法月さんの作品はあまり読まなくなってしまいましたが、今でも新作が出るとチェックしています。
今回も図書館から借りました。
感想
短編集でも、連作だったり、そこまでは行かなくても探偵役が一緒だったりして統一感のあるものもありますが、これは全くばらばらです。
「下ネタが入ったスラップスティック・コント(ご本人によるあとがきより)」あり、ペットを題材にしたファンタジーあり、死を題材にしたショートショートあり、都筑道夫氏の「贋作(ご本人によるあとがきより)」あり、デビュー前の習作を改題して再録したものあり。
これを作者の引き出しの多さと見るのか、アンテナを広げるだけ広げてうまく電波をキャッチできずにいると見るのかは、作品の質にあると思います。
私的には、後者の印象。とても残念に思いました。
これって現実にありうる?って思ってしまう要素が多くて。
短編ですから細やかな描写は難しいですし、虚構の事件を描いているのですから「現実にありうるか?」という考えも違うのでしょうが、ある程度の共感やリアリティがないと、満足できないのも確かです。
表題の『しらみつぶしの時計』。これが一番面白かったです。
法月さんらしい、生意気な1作です。
…と書いてある私が一番生意気なんですけど(苦笑)。
1440個の時計は、どれも1分ずつ違う。その中から正確な時刻を表示しているものを探し当てなければ、ここから脱出できない。では、どうやって…?
緊迫感ある文章、論理を武器に、たどり着く解答(表題作)。
名探偵・法月綸太郎(作者と同名)が活躍する作品で有名な著者の、本人曰くシングル・コレクションともいえる非シリーズ9編と、プラス法月林太郎(1字違うのはデビュー前の作品の為)が登場するボーナス・トラックを含んだ短編集です。
動機
一時期、作者・法月さんにハマっていました。
法月さんの短編を漫画化した1作を読み、これが当時の自分には衝撃的でした。
原作を読んでみたい!と思ったのですが、内容は覚えているのに、タイトルを忘れてしまって…^^;
その原作の短編に出逢うまで、法月さんの作品を読み続けていました。
ご本人も京大卒の秀才です。
失礼な言い方なんですが、いかにも頭のいい自信家が書いた感の強い文章と、少し上から目線の内容が面白くて、すっかりハマっていました。
当時手に入る法月さんの本は殆ど購入した程です。
ところが、購入したのはいいのですが、後から読み返すということがないことに気づきました。1度読んで、それっきり。
私がトリックなどよりも、犯人の動機や心情、被害者との人間関係に興味を持つタイプだというのが大きいとは思います。
まず図書館から借りて、気に入ったもの、手元に置いておきたいものだけを購入する今のスタイルになったのは、法月さんがきっかけです。
それ以来、法月さんの作品はあまり読まなくなってしまいましたが、今でも新作が出るとチェックしています。
今回も図書館から借りました。
感想
短編集でも、連作だったり、そこまでは行かなくても探偵役が一緒だったりして統一感のあるものもありますが、これは全くばらばらです。
「下ネタが入ったスラップスティック・コント(ご本人によるあとがきより)」あり、ペットを題材にしたファンタジーあり、死を題材にしたショートショートあり、都筑道夫氏の「贋作(ご本人によるあとがきより)」あり、デビュー前の習作を改題して再録したものあり。
これを作者の引き出しの多さと見るのか、アンテナを広げるだけ広げてうまく電波をキャッチできずにいると見るのかは、作品の質にあると思います。
私的には、後者の印象。とても残念に思いました。
これって現実にありうる?って思ってしまう要素が多くて。
短編ですから細やかな描写は難しいですし、虚構の事件を描いているのですから「現実にありうるか?」という考えも違うのでしょうが、ある程度の共感やリアリティがないと、満足できないのも確かです。
表題の『しらみつぶしの時計』。これが一番面白かったです。
法月さんらしい、生意気な1作です。
…と書いてある私が一番生意気なんですけど(苦笑)。
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