内容
池袋で実家の果物屋を手伝うマコト。
トラブルシューターの異名を取る彼の元には、時々問題を解決して欲しいと相談が来る。
振り込め詐欺から“足抜け”したがっている一人の青年。
どう見てもデート商法に引っかかり、5年で500万のローンを抱えながら、それでも騙した女性を信じる季節工。
優等生に疲れて自宅に放火した中学生。
そして池袋で起きた襲撃事件が発端で内部抗争に発展したGボーイズのキングこと、マコトの友人のタカシ。
シリーズ7作目となる、4作入りの連作短編集。
動機
宮藤官九郎脚本で、テレビドラマでも大ヒットした『池袋ウエストゲートパーク』。通称『IWGP』。
その続編(シリーズ7作目)です。最新刊ではありません。
ドラマは一切見ていないのですが、ずっと読み続けています。
最初のうちは購入していたのですが、その後図書館で借りて
気に入ったものだけを購入するスタイルになったため、
こちらも図書館で借りました。
しばらくこのシリーズは読んでいなかったので、
シリーズ何作目まで読んだのか分からなくなっていました。
アマゾンなどのサイトを参考に、読んだような気はしたけれど、こちらを予約。
やっぱり読んだことあるものでした^^;
が、石田さんの作品って、良くも悪くも印象に残らない。
2度目になりますが、ある意味新鮮に読めました。
感想
時代を切り取った、と言えばありきたりになりますが、
この言葉がぴったりする小説であり、作家のような気がします。
振り込め詐欺にデート商法と、がそれぞれ1作ずつ。
そして恐らく2006年に奈良で起こった、超進学校に通う男子高校生が自宅に放火し、継母と異母妹弟が亡くなった事件をモチーフにした作品が1作。
過去の事件に絡み、命を狙われたマコトと内部抗争に発展したグループを抱えたタカシの1作。
どこか映像的な文体、軽妙な会話、テンポよくでもちょっと都合よく進む展開、納得できる結末。
そして作者も、’60年生まれとのことですが、若々しいイマドキノヤサオトコ風。
ココで描かれている池袋は、とても雑多で組織の街。集う人間も刹那的。
私は池袋の一部しか知らないのでしょうね。
それでも共感し読み続けようと思うのは、そこに描かれた人間像が普遍的といってもいいから。
刹那的でも未来が見えなくても、心の奥底のひたむきさと救いを感じるから。だと思います。
この中で一番好きなのは、3作目の「バーン・ダウン・ザ・ハウス」。
放火少年の話です。
実際の2006年奈良の事件に救いはありませんでしたが、これには救いがあります。
両親は助かり、祖母は大怪我を負いながら孫を愛している。
放火した孫は祖母の好きなカスミソウの花束を、ナースステーションに毎日預けている。
そして池袋で起こった放火事件を解決し、祖母に謝罪する。
誰も死ななかったとする物語だからこそ迎えた大団円とはいえ、
実際の事件を思い浮かべて思わず涙。
主人公マコトの趣味は、クラシック音楽鑑賞。
作中に流れる(書かれた? 紹介された?)こちらもCDを聞いてみたくなります。
memo
池袋で実家の果物屋を手伝うマコト。
トラブルシューターの異名を取る彼の元には、時々問題を解決して欲しいと相談が来る。
振り込め詐欺から“足抜け”したがっている一人の青年。
どう見てもデート商法に引っかかり、5年で500万のローンを抱えながら、それでも騙した女性を信じる季節工。
優等生に疲れて自宅に放火した中学生。
そして池袋で起きた襲撃事件が発端で内部抗争に発展したGボーイズのキングこと、マコトの友人のタカシ。
シリーズ7作目となる、4作入りの連作短編集。
動機
宮藤官九郎脚本で、テレビドラマでも大ヒットした『池袋ウエストゲートパーク』。通称『IWGP』。
その続編(シリーズ7作目)です。最新刊ではありません。
ドラマは一切見ていないのですが、ずっと読み続けています。
最初のうちは購入していたのですが、その後図書館で借りて
気に入ったものだけを購入するスタイルになったため、
こちらも図書館で借りました。
しばらくこのシリーズは読んでいなかったので、
シリーズ何作目まで読んだのか分からなくなっていました。
アマゾンなどのサイトを参考に、読んだような気はしたけれど、こちらを予約。
やっぱり読んだことあるものでした^^;
が、石田さんの作品って、良くも悪くも印象に残らない。
2度目になりますが、ある意味新鮮に読めました。
感想
時代を切り取った、と言えばありきたりになりますが、
この言葉がぴったりする小説であり、作家のような気がします。
振り込め詐欺にデート商法と、がそれぞれ1作ずつ。
そして恐らく2006年に奈良で起こった、超進学校に通う男子高校生が自宅に放火し、継母と異母妹弟が亡くなった事件をモチーフにした作品が1作。
過去の事件に絡み、命を狙われたマコトと内部抗争に発展したグループを抱えたタカシの1作。
どこか映像的な文体、軽妙な会話、テンポよくでもちょっと都合よく進む展開、納得できる結末。
そして作者も、’60年生まれとのことですが、若々しいイマドキノヤサオトコ風。
ココで描かれている池袋は、とても雑多で組織の街。集う人間も刹那的。
私は池袋の一部しか知らないのでしょうね。
それでも共感し読み続けようと思うのは、そこに描かれた人間像が普遍的といってもいいから。
刹那的でも未来が見えなくても、心の奥底のひたむきさと救いを感じるから。だと思います。
この中で一番好きなのは、3作目の「バーン・ダウン・ザ・ハウス」。
放火少年の話です。
実際の2006年奈良の事件に救いはありませんでしたが、これには救いがあります。
両親は助かり、祖母は大怪我を負いながら孫を愛している。
放火した孫は祖母の好きなカスミソウの花束を、ナースステーションに毎日預けている。
そして池袋で起こった放火事件を解決し、祖母に謝罪する。
誰も死ななかったとする物語だからこそ迎えた大団円とはいえ、
実際の事件を思い浮かべて思わず涙。
主人公マコトの趣味は、クラシック音楽鑑賞。
作中に流れる(書かれた? 紹介された?)こちらもCDを聞いてみたくなります。
memo
「うちの果物屋のまえで、メルセデスは停車した。これからワンパック五百円のビワやひと袋二百八十円のミカンを売るのだ。電話一本で数百万を振り込ませるよりも、頭をさげてこつこつ稼ぐ。
なあ、仕事って、そういうもんだよな(51頁)」
(振り込め詐欺事件を解決してマコトが思うこと)
「そこにあるナシを皿のうえによっつずつ、のせてくれ。そのあとは店のまえの掃き掃除。むずかしいこと考えなくていいから、休まずに動いてろ(129頁)」
(マコトの実家の果物屋で働くことになった放火少年・ユウキに、マコトが言った言葉)
「悪いことをする人のなかでも最低の人間は、何が起きたか、誰を傷つけたか、決して自分で見ようとしない人間なんだ(149頁)」
(ユウキが祖母に謝罪した言葉の一部)
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